こんにちは、てつです。
私は就職氷河期時代にフリーターから公務員試験に合格。13年間都内某区役所で勤務し、最速で管理職選考に合格しました。
このブログでは、元公務員の私が、公務員時代の実体験をベースに、これから公務員試験に挑戦しようとする方・現役の公務員の方に向けて役立つ情報を発信しています。
今回の記事のテーマは、「公務員が配属1年目で異動希望はアリ?」
今の部署に配属されて1年目。
仕事がきつい…合わない…異動したい!
でも、配属1年目で異動希望を出してもいいの? 異動できるの?
結論から言えば、配属1年目で異動希望を出すのはアリです。でも、注意が必要です。
また、異動希望を出したとしても、1年で異動できるとは限りません。
なぜなら、公務員の人事異動は3~5年程度のサイクルで行われるのが通常で、1年で異動することは想定されていないからです。
ただし、例外的に1年目での異動が認められるケースがあります。
今の部署に悩んでいる方に向けて、元公務員が公務員の人事異動事情をご紹介しながら、「配属1年目で異動するために必要なこと」をお話ししていきます。
公務員が配属1年目で異動希望を出してもいい?
結論から言えば、公務員が配属1年目で異動希望を出すことは可能です。
ただし、1年目で異動希望を出すには、相応の理由が必要です。
また、異動希望を出したからといって、異動できるとは限りませんし、1年目で異動するのは非常に難しいです。
とはいえ、配属された部署が「自分に合わない」「仕事がしんどい」と感じたら、異動したいと思う気持ちも分かります。
そこで、このあとは、私自身の経験も交えながら、公務員の人事異動事情をご紹介しつつ、配属1年目で異動希望を出す際の注意点と、異動希望が受け入れられるために必要なポイントについて詳しく解説していきたいと思います。
実は、私も異動してすぐに、「この部署でやっていけるかな…」と不安になり、1年目で異動したいと思ったことはあります。
また、私は13年間区役所で働いたなかで、業務内容が合わず配属1年目で異動していく職員を何人も見てきました。
この記事では、そんな私の経験も踏まえながら、語っていきたいと思います。
公務員が配属1年目で異動するのが難しい理由とは?
公務員の方であれば、配属1年目で異動するのが難しいのはなんとなくお分かりでしょう。
だからこそ、異動希望を出していいのか悩みますよね。
実際に公務員が配属1年目で異動するのは非常に難しいです。
それでも、異動希望を出すのであれば、まずはなぜ難しいのかを整理しておく必要があります。
配属1年目での異動が難しい理由として、主に以下の3点が挙げられます。
- 公務員の人事異動サイクルが通常3~5年程度だから
- 業務の習熟度が十分でないから
- 人員配置の調整が難しいから
人事異動は適材適所を原則として、さまざまな観点を考慮して決定されています。
それぞれの理由について、解説します。
理由① 公務員の人事異動サイクルが通常3~5年程度だから
公務員の人事異動は、通常3~5年程度のサイクルで行われます。
これは、業務の継続性を維持し、職員のスキルアップを図るためです。
公務員の仕事は2~3年のスパンで行うことも多く、毎年のように担当者が変わっていたら、全然業務が進まないですよね。
1年目での異動は、このサイクルから外れるため、例外的な扱いになってしまいます。
理由② 業務の習熟度が十分でないから
配属1年目の職員は、業務に対する習熟度がまだ十分ではありません。
1年で異動してしまうと、知識やスキルが乏しいまま異動することになるため、新しい部署で異動前の経験を活かすことができず、非常に不効率な異動になってしまいます。
人事部門としては、ある程度業務知識・スキルを身につけてもらってから異動させることで、組織全体のスキルアップを図り、しいてはそれが「適正な行政運営」と「住民サービスの向上」につながるというわけです。
理由③ 人員配置の調整が難しいから
各部署の人員配置は、業務に必要な経験・スキルや業務量を考慮して決定されています。
1年目の職員が異動してしまうと、人員配置のバランスが崩れ、業務に支障をきたす恐れがあります。
1年目で異動した職員の穴を埋める職員は、1からその業務について学び直さないことになるので、人事部門としてはできるだけ避けたいのです。
以上のように、公務員が配属1年目で異動するのは難しいと言えます。
ただし、例外的に1年目での異動が可能なケースがあります。
このあとは、例外的なケースをご紹介します。
配属1年目の異動が認められるケースとは?
前述したように、公務員が配属1年目で異動希望を出しても、希望が通る可能性は低いですが、例外的に認められるケースがあります。
ここでは、配属1年目の異動が認められる可能性が高いケースを3つ紹介します。
- 人事行政上のメリットが大きい場合
- 健康上の理由で現在の職務を続けることが困難な場合
- 職員の能力と業務内容・業務量が見合っていない場合
それぞれ解説します。
人事行政上のメリットが大きい場合
職員の異動が、組織の人事行政上、大きなメリットをもたらす場合は、1年目での異動が可能なケースがあります。
例えば、昇任を控えた職員が、より多くの職務を経験することで昇任後のスキルアップにつながる場合や、異動先で職員の専門性を発揮することでより高度な行政運営を実現できる場合などです。
このような場合、職員の異動希望が組織の発展につながると判断され、異動が認められる可能性が高くなります。
ただし、このケースで異動できる職員は限られており、自ら異動希望を出して異動するには、自分の経験・スキルを積極的にアピールする必要があります。
健康上の理由で現在の職務を続けることが困難な場合
身体的・精神的な理由で、業務を継続することが明らかに難しい場合、異動の対象となるケースもあります。
なにかしらの体調不良を抱える職員が無理に業務を続けていると、病状が悪化してしまい、回復に時間がかかってしまう可能性があります。
また、病気休暇などで穴が開いてしまえば、業務が停滞していまう恐れもあります。
また、周りの職員がサポートしたり、代わりにカバーしなければならない場面も発生するので、職場全体のモチベーション低下を招く可能性があります。
これは、職場環境としてはよくないことなので、本人の体調回復と職場環境の改善を図るために、異動が実施されることがあります。
職員の能力と業務内容・業務量が見合っていない場合
職員の能力と、現在の部署での業務内容や業務量が極端に見合っていない場合も異動の対象となることがあります。
例えば、職員の能力に対して業務内容が単純すぎたり、逆に業務量が多すぎてオーバーワークになっていたりする場合です。
特に業務内容が明らかに職員のキャパシティを超えてると、頑張っても頑張ってもどうにもならないと悩む職員はよくいます。
これは、本人にとっても不幸なことですし、組織としても業務の停滞を招きます。
職員のモチベーション低下や業務効率に大きな影響を与えている場合、本人の異動希望が認められるのです。
ただし、この判断には、職員の適性や他部署の業務内容との整合性など、さまざまな要因が考慮されます。
以上のケースに該当する場合、配属1年目での異動が認められる可能性がありますが、最終的には人事担当部署の判断になります。
公務員が配属1年目に異動希望を出す前にしておくべきこと
公務員の異動希望調査は通常、11月から12月頃にかけて行われますが、この時期にいきなり異動を申し出ても希望が通らない可能性があります。
なぜなら、詳しい状況を把握する前に異動の判断をする必要がありますし、他にも同じような問題を抱えている職員がいたりするからです。
何事にも優先順位があるので、異動希望時期に唐突に異動希望を申し出ても、優先順位として後ろに回されてしまうこともあるわけです。
そうならないようにするために、配属1年目で異動を希望する場合、事前に以下の3つのことを行っておくことをおすすめします。
- 異動希望の理由を明確にする
- 上司とよく相談する
- 医師の意見を聞く
それぞれ解説します。
異動希望の理由を明確にする
異動を希望する理由を自分自身で明確にしておくことが大切です。
単に「現在の職務が合わない」というだけでは不十分です。
具体的にどのような点が自分に合っていないのか、どのような職務なら自分の能力を発揮できるのかを整理しておきましょう。
特に、健康上の理由で異動を希望する場合は、現在の職務がどのように自分の健康に影響しているのかを明確にしておく必要があります。
また、異動が自分のキャリア形成にどのように役立つのかを考えることも重要です。
上司とよく相談する
どうしても異動したいなら、異動希望調査より前に、上司と面談を重ねておくことが大切です。
この場合の上司とは、基本的には課長になります。
係長でもよいのですが、課長に正確な情報が伝わるかは分かりません。
人事担当部署に職員の意向を伝えるのは課長ですので、課長に相談しましょう。
相談の際には、異動の理由や希望する部署について、率直に伝えましょう。
もしかしたら、人事異動以外の対処をしてもらえる可能性もあります。
特に、健康上の理由で異動を希望する場合は、課長に自分の健康状態について正直に伝え、理解を深めてもらうことが重要です。
医師の意見を聞く
健康上の理由で異動を希望する場合は、事前に医師の意見を聞いておくことも重要です。
専門家である医師の意見は、異動希望の正当性を裏付ける重要な根拠になるからです。
自分の健康状態について医師に相談し、現在の職務が自分の健康にどのような影響を与えているのかを確認しましょう。
医師から、現在の職務を続けることが難しいと判断された場合は、その旨を課長に伝えましょう。
1年で異動したい|異動希望調査の書き方のポイント
異動希望を申し出る手段としては、例年の異動希望調査時期に書面で提出することが一般的です。
異動希望書を作成する際は、以下の3つのポイントを押さえることが大切です。
異動を希望する旨を明記する
異動希望書には、異動を希望する旨を明確に記載しましょう。
また、「異動希望する」「どちらでもよい」「異動を希望しない」のように選択肢から選ぶ場合は、「異動を希望する」選択肢を選びましょう。
1年目で異動希望を出すことの罪悪感から、間違っても「どちらでもよい」を選択することのないようにしてください。
希望はあくまでも「希望」。
異動したいなら、はっきりと異動の意思を書面に示しましょう。
理由を具体的に記載する
異動を希望する理由を具体的に記載することが重要です。
健康上の理由であれば、現在の病状や体調が業務に及ぼす影響を詳しく説明しましょう。
また、医師の意見がある場合は、その内容も記載します。
職員の能力と業務内容・業務量が見合っていない場合は、現在の業務における課題や、自分の能力をより発揮できると考える業務内容について、具体的に記載しましょう。
異動希望先の部署名を明記する
「異動は希望するけど、異動先はどこでもいい」は通用しません。
これだと、異動先でまた同じ問題が発生してしまうのはないかと人事部門に思われてしまいます。
漠然と異動希望を伝えるのではなく、具体的にどの部署への異動を希望するのかを明らかにしましょう。
異動後のビジョンを明らかにし、1年での異動でも組織上のメリットがあることをアピールすることで、異動希望が通りやすくなります。
異動希望書は、自分の意思を上司や人事担当者に正式に伝える重要な書類です。
異動を希望する旨、理由、異動希望先を明確に記載することで、自分の意思を的確に伝えることができます。
また、異動希望調査の時期は、課長が職員と面談して、記載内容の確認をすることが多いです。
面談では自分の意思をしっかりと説明するとともに、上司の意見を聞き、必要に応じて修正を加えましょう。
配属1年目での異動希望が通らなかったら?
異動希望調査票をしっかりと記載し、課長に直接意思を伝えても、異動希望が通らないことは往々にしてあります。
組織に所属している以上、仕方のないことです。
とはいえ、また1年同じ職場にいなきゃいけないのはかなりつらいですよね…
このまま何もせずに我慢して1年後の異動希望時期を待つのでは、さらに状況が悪化してしまうかもしれません。
そこで、異動希望が通らなかった場合にできることを解説していきたいと思います。
異動希望が通らなかった場合は、まず現在の職場での改善策を検討することが重要です。
状況改善に向けて、以下の3つの方法を検討してみましょう。
- 係内配置の変更を依頼する
- 課内異動を希望する
- 病気休暇を取得する
それぞれ解説します。
係内配置の変更を依頼する
異動希望が通らなかった場合、まずは現在の係内での配置変更を依頼してみることをおすすめします。
係内配置の変更とは、同じ係内で担当業務を変更したり、座席配置を変えることです。
これは係長権限で対応してもらえるので、比較的通りやすいです。
また、依頼する時期はいつでもいいです。
時期としては、新年度が始まるタイミングが理想ですが、年度途中であっても係長に相談すると考えてもらうことができます。
とにかく過度に抱え込みすぎて我慢することのないようにしてください。
係内配置の変更を依頼する際は、係長に率直に現状を話し、自分の能力を発揮できる業務や、係の業務効率化に貢献できる案を提案できるとよいでしょう。
上司の理解と支持を得ることで、係内配置の変更が実現する可能性が高まります。
課内異動を希望する
係内配置の変更で状況が改善されなさそうであれば、課内異動を申し出てみましょう。
課内異動とは、同じ課内で他の係へ異動すること。
一般職員に関する課内の人事権は課長が握っています。
通常、課内配置は、庁内の人事異動が内示されてから、職員の転出入を考慮して、課長が決定します。
申し出るタイミングとしては、人事異動の内示後2~3日以内です。
課長にもよりますが、通常内示後すぐに次年度の課内配置の検討作業が始まりますので、その検討作業の材料に入れてもらうためにも、検討作業が終わる前に申し出ておかなければなりません。
課内異動を申し出る際は、現在の職務内容と自分の能力・適性とのミスマッチを丁寧に説明し、他の係であれば自分の能力を発揮できることをアピールしましょう。
また、異動先の係の業務内容や、自分がその係に貢献できる点についても具体的に提案することが重要です。
課内異動が実現すれば、職務内容の改善が期待できます。
病気休暇を取得する
精神的な理由も含め、健康上の理由で異動を希望したにもかかわらず、異動が認められなかった場合は、病気休暇の取得を検討しましょう。
公務員は、一定の条件を満たせば、病気休暇を取得する権利があります。
病気休暇を取得することで、一時的に職務から離れ、心身の健康を回復させることができます。
病気休暇の取得を検討する際は、医師の診断書を取得し、上司や人事担当者と相談することが重要です。
病気休暇の取得が認められた場合は、休暇中に治療に専念し、職場復帰に向けて準備を進めましょう。
辞めるのは最後の手段
今の仕事が合わなかったり、つらかったりして、どうにもならないと、現状から開放されたくて、つい「辞めたい」と思ってしまうこともあるかもしれません。
私も仕事が溜まってしまって残業してもどうにもならない時期があり、そんなときは「辞めちゃえば楽になるのに…」と思ったことがあります。
でも、今の職場の仕事が合わないだけで公務員を辞めてしまうのは、おすすめしません。
明確な意思と将来のビジョンを持って辞めるのならまだいいのですが、合わなくてつらくて「辞めたい」と思う場合は、大体将来のビジョンがあるわけではなく、「この場から逃げたい」一心でしょう。
ほとんどのケースは人事異動以外の方法でも解決できますし、何のビジョンもなく辞めてしまうことのリスクが大きすぎます。
だから、まずは辞めるという極端な行動に出る前に、自分のできることをやってみましょう。
でも、つらい状況のなかでは、行動する気にもなれないこともあるかもしれませんね。
そんなときは誰かの力を借りて行動しましょう。
信頼できる上司にまずは相談しましょう。
前向きになるために…|配属1年目の異動希望は恥ずかしいことじゃない
以上、配属1年目で異動希望を出す際の心構えや気を付けるべきポイントについて、お話ししてきました。
配属1年目に異動希望を出すことは確かに特殊なケースです。
でも、異動することで、職場環境が改善し、何より
あなたが前向きに仕事に向かえるようになるなら、1年目で異動希望を出すのはなにも恥ずかしいことではありません。
もしあなたが、今の職場を「合わない」「しんどい」と感じているなら、1年目でも異動することを考えてみてください。
あなたが前向きに活躍できる職場に巡り会えることを願っています。